ドイツ郊外

数年前ポートランドのフェスティバルで知り合ったフランクの家を訪ねた。彼は、エレクトロアコースティックの音楽家で、もともとはドイツ国営ラジオ局で働いていた人。今は、エレクトロアコースティック協会の理事か何かをやっているようで、コンサートだけでなく会議のためにも各地を飛び回ってる。フランクのスタジオはデュッセルドルフ、エッセン、ケルンから車で30分くらいなのだけど、全面ガラス張りの窓からの風景は森の中そのもの。野生の鹿が庭にやってきたこともあったとか。
フランクおすすめの観光コースが決まっているようで、エッセン郊外の工場跡地や古い町並みをみる。工場跡地は日本のアニメの蒸気都市のようだった、というかアニメの方が参考にしたんだろうな。彼がコンサートのオーガナイズを企画しているgasometer(ガスタンク)を訪ねる。今は展示会場兼展望台として使われているこの建物は、壁の薄さは数ミリだそうで外の音や空気の振動が響いてくる。1階から天井までは吹き抜けで、つまりはすごく長い天然のディレイがあるわけで、ふだんはクリスティーナキュービッシュの作品が流れてる。といっても、アートな場所では全然なく、近くには大型ショッピングセンターや遊園地のある、地方のお台場みたいな場所。おもしろい音が録音できるかなと期待して行ったのだけど、観光地のざわざわムードだったので断念。

次の日はアウトバーンを時速180kmで飛ばしてケルンへ。スピードに慣れてくると、時速100kmがのろのろに思えてくる。ケルンのドームの半径50km内でしかつくっていない地ビール、ケルッシュを100年以上の歴史のあるビアホールで飲んだ後、1248年着工で157mの高さのケルン大聖堂に歩いて登った。