ジョンゾーンのひゅーひゅー

今日は、ルーレットでジョンゾーン、イクエモリ、Jim Staleyトリオ。フリージャズは、エネルギーの固まりがぶつかりあって昇華していく、ニューヨークの空気や匂いにぴったりあう音。(フリージャズじゃないけど、ヨーコオノさんの演奏もそんな感じでした。)そして、ニューヨーク自体がまさにそんな街だと思う。楽器を演奏する人だったら、あんな風に楽器や音楽に自分をぶつけてみたいと思うのかなあ。26年間、一緒に演奏してきた間柄だけあって、3が1に、1が無限に、変化自在に音がとびまわっていました。構成や音の切り込み方、音色や表現方法などたくさんはっとすることや学ぶことがあったのだけど、同時に、私が向かっている音とは、身体や感情と音との関係が逆のベクトルだなとはっきり再認。私は、空気や匂いや光の感触のように、自分を消していく、環境に溶かしていくことで、相手が気づかないうちにすーっと入り込んで、いつの間にか、影響を及ぼしているというスタイルだと思った。

アンコールのときに、「今日はイクエモリの誕生日ブロードキャスト」とかなんとかでイクエさんソロ→Jim Staleyとデュオ。その途中で、ジョンゾーンが「ヒューヒュー」って突然歓声をあげはじめて、はじめは会場からくすっと笑う声もあったり私もお誕生日祝いなのかな、とおもっていたのだけど、次の瞬間、ヒューヒュー→マウスピース演奏→サックス演奏→ヒューヒュー、とやつぎばやに歓声は演奏にシフトしていって。耳の認識が歓声から演奏にかわった瞬間、音楽っていう枠組みがくるっとひっくりかえされた感覚がして、ジョンゾーンの、歴史をかえられる人だけがもつ軽々とした底力を感じました。久々のホームランに、自分の中のエネルギーがなんだかおさまりつかなくて、その後、チャオベラでアイスを買って夜の街をうろうろ徘徊。